「私は死んだのです」と私に向かって私の骸が言った。
だから私は「私は生きている」と私の骸に言った。
私の骸は笑わなかったし、怒らなかった。だから私は笑いながら怒ったし、怒りながら笑った。
だというのに、私の骸は「私は死んだ」と言った。
私は生きているのに私の骸は私が死んだと言う。
意味が分からなかった。言葉が違う。そう言葉が違うのだ。
ならば分からなくても仕方がない。
「私は死んだのか」と私は私の骸に聞いた。
そこで始めて私の骸は私に笑った。
「私が死んだのです」と私の骸は言った。
後に続いた言葉が私には理解出来ない。
まただと私は思った。私の骸は私とは違う言葉を使う。
どうすれば良いのだろう。私は私の骸の言葉が分からない。
それから何秒も経たずに私は名案を思い付いた。
そして私は私の骸の首を絞めた。きめの細かい柔らかな肌に私の指が痕を残していく。
私は嬉しくて笑った。私は楽しくて歌った。それは私の骸の歌だった。
私が私の骸の首から手を離すと、何故か私の手は傷だらけで少し痛かった。
これで私は私の骸の言葉が分かるだろう。
「私は死んだのか」と私は聞いた。
私の骸は暫く何も言わなかったが、黒い何か汚らしいものが辺りを飛ぶようになると私が私に言った。
「私は死んだのです」
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