いや、終わらせる気がないというべきか。
今日は何をぼけぼけしていたのか、財布と手帳を持つのを忘れて学校に行ってしまいましたorz
しかも、文庫本をかばんに入れたと思っていたらD・N・ANGEの14巻だったorz
何やってるんだ俺・・・。
今日で電車に揺られて終了です!
段々長くなっていき、今日はある意味2回分。
とりあえず必死に最後をぼかしてみた。
嘘です。全然ぼかせてません。
さて、どこが本当の話なのか、分かりますでしょうか。
俺にはわかりません。
あ、そうそう、今回珍しいあの人が出てますよ。驚きのあの人がデレてます。
というか、そういえばミーシャをまともに出すの初めてなんだっけか。
いや、それ以前に視点が定まってなくて読み辛いとか、口調が定まらない・・・。
前置きが長くなりましたが、そんな感じでもよろしければどうぞ。
どこか遠くで電車の走る音が聞こえる。
今となっては憎らしく、恐怖を覚える音でしかない。
閉め切られたカーテンの隙間から一筋こぼれる陽光が、二つ並んだベッドの上を照らしている。
ベッドに寝かされた二人の体にはそれぞれ包帯が巻かれ、ガーゼが貼られ、その様は見ていて痛々しい。
栗色の髪の中に一房流れる金糸の髪が美しい少し年の離れた兄と、ゆるいウェーブのかかった長い銀糸の髪に数房混じる紫糸の髪が自慢だった双子の兄。
二人は今、二つならベッドの上に寝かされている。
硬く瞳を閉ざし、浅い呼吸を繰り返しながら、生きているのか死んでいるのかも定かではなくて。
治療のために短く切られてしまった双子の兄の髪に指を絡める。けれど毛足の短い髪は細く白いしなやかな指に絡まることなくさらりと流れてしまう。
それが悔しくて何度も何度も髪に指を絡めようとするが、短い髪はただ指に梳かれるだけで絡むことはない。
この二人の大切な人は、電車の事故に巻き込まれて重症を負った。
目に見える外傷はさほど酷いものではなかったが、頭部を強打したらしく意識を失ったまま一向に目覚める気配がない。
もうそれがどれほど前のことなのか、彼女には思い出せなかった。
双子の兄の髪を指に絡めることを諦め、ベッドのすぐ脇に置いてある丸椅子に腰掛ける。
こんな現実は決して認めない。この椅子に座るたびに心の中で呟くそれは、心強くあるための呪文のようなものだった。
コンコンと扉をノックする音が白い室内に響く。
次いで入室を告げる低く渋い声が聞こえ、扉が開くと鮮やかな赤い色が目に飛び込んできた。
黒いスーツに身を包んだ鮮やかな赤髪を三つ編みにしたその男性は険しい表情で椅子に座る彼女を見、それから二つのベッドへ視線を移した。
「兄様」
「・・・相変わらずか」
眉間に刻まれた深い皺、目の下の隈も濃くなり、少し痩せたようだ。
溜息を吐きつつ近づいてくる一番年上の兄は、妹のそばへ寄ると無骨な手で銀糸と紫糸の綺麗な髪を撫でた。
不器用で乱雑な撫で方だったけれど、労りと優しさが胸に染みた。
「あまり無理はするなよ、お前まで倒れては困る」
「うん、分かってる。ありがとう兄様」
笑顔で応えると恐持ての兄は眉間の皺をまた一本増やしながらも、何も言わずに軽く頭を二回ぽんぽんと叩いて出入り口に向かって歩き出す。
二つ目のベッドを通り過ぎる前に一度立ち止まると、ぐっと強く拳を握り締めた。
「・・・もう戻るが、何かあったらすぐに呼べ」
「分かってるわよ。それより兄様、その眉間の深~い皺、いい加減どうにかしないとモテないわよ?」
「生まれつきだ」
ふんっと鼻を鳴らすと、赤い三つ編みを揺らし、革靴の音を響かせて彼は部屋を後にした。
扉が閉まると、糸が切れたように倒れこむようにしてベッドに寝ている双子の兄の体に抱きついた。
一人取り残されるというのは、一体どれほど心細いものなのだろう。
昏々と眠り続ける二人を前に、悲しみが心を満たしていく。
兄の冷たい手を握り、ただただ思う。
こんな現実決して認めない、と。
人の喧騒と心地よい振動が体を揺らす。
まどろみに揺れる中、誰かが肩を掴み、強く体を揺すった。
「おーい、ミーシャ?もう降りるぞー、起きろー」
「だからオリオンっ!ミーシャを揺するな!眠かったら寝てていんだからな、ミーシャ!」
「・・・エレフ、うるさい」
「・・・ごめんなさい」
耳朶を叩く懐かしい声に目を開けると、そこには笑うオリオンと肩を落とすエレフがいた。
ぼんやりする頭のまま、辺りを見回す。
電車内には学生やサラリーマン、子供連れなど空席が目立つとはいえ、多くの人が乗り合わせている。
駅が近いことを知らせるアナウンスが車中に流れ、次の駅で降りる人たちがドアの前に集まり始めた。
そんなドアの前に、見慣れた人影。
栗色の髪に一房流れる金糸の髪と、穏やかな微笑み。
駅構内の風景が窓の外を流れ始め、鋭い音を立てながらブレーキをかけた車体の速度が下がっていく。
ぼんやりと眺めているとぐっと腕を引かれる。
「だーもう、いつまで寝てるんだよ、ミーシャ。置いていくぞ?」
「だ・か・ら!ミーシャを手荒く扱うなっつってんだろうがっ!」
「エレフうるさい」
「・・・すみません」
ホームへ出て行く人並みに続いて、電車を降りる。
「レオンてめぇ、ミーシャより先に降りてんじゃねーよ!」
「その意味の分からない当たり方はやめろよなエレフ。男の嫉妬かっこ悪い」
「んだとっ!」
「まぁまぁ、それにしてもミーシャ、よく寝てたね。もしかして寝不足だった?」
「うーん、ちゃんと寝ていたはずなんだけど・・・。きっとエレフが騒がしいから」
「・・・ミーシャぁ!」
コンクリ造りのホームを改札へ向けて歩いていく。
背後では電車が徐々に速度を上げてホームを後にする。
ガタン、ゴトンと音を立てて電車が走り去っていく。
規則正しい振動に混じる不規則な揺れが眠気を誘う。
けれど。
眠ってはいけない、どこかへ行ってしまうから。
大切な人が、眠り続ける私が。
だってほら、過ぎていく電車の中には、眠り続ける二人がいたから。
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