カタンッと車両が揺れた。
その振動にあわせて頭が揺れる。
ゆるいウェーブのかかった長い銀髪がふわりと一瞬広がった。
美しい銀色の髪に混じる数房の紫暗が、銀と混じりはらはらと踊る様は目に楽しい。
昏々と眠り続ける彼の瞳はやはり開く素振りもない。
意外と長い睫は髪と同じ銀色で、思わずくすりと笑った。
肩に凭れ掛かる彼の頭に自分の頭を凭れ掛けて目を閉じる。
規則的な振動の中に不規則な揺れが混じる。
聞こえてくるのは車両の揺れる音と自分の息遣いだけ。
もうずっと、このままでいられたらいいのに。
これで何度目になるとも分からない願いを声には出さず呟いた。
眠る彼と永遠に旅を続けるのだ。誰に邪魔されることもなく。
知らぬうちに一筋涙が頬を伝った。
それに気付く暇もなく、眠りの闇へと落ちていく。
夢ならどうか、覚めないようにと願いながら。
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